Q&A

自分の知らない間に離婚届を出されないか心配です。私は離婚したくないのですが、妻が離婚を希望しており、勝手に離婚届を出されないようにするには、どうしたらいいでしょうか。

[離婚]

<ご回答>

1 届出の意思の欠如と離婚無効

 協議離婚は戸籍法の定めるところにより、これを届け出ることにより効力を生じます(民法764条・739条)。したがって、離婚するには、離婚をする意思と離婚届を提出する意思が必要です。

 一方配偶者が相手方に無断で離婚届の署名捺印を代筆して届出しても、無効であり、離婚は成立しません。相手方の離婚意思が欠如しているからです。

 判例は当事者双方が合意して離婚届が作成されたものの、提出前に夫の気持ちが変わり、戸籍係にその旨を連絡したケースにおいて、届出当時、夫側には離婚の意思がなかったとして、離婚は無効としています(最判昭和34年8月7日・家月11巻10号79頁)。

 

2 不受理届制度

一方の配偶者には離婚意思がないのに、相手方配偶者から離婚届が提出されるおそれがある場合、自分が離婚届に署名捺印したかどうかに関わらず、本籍地の戸籍係に婚姻届の不受理の申出(不受理届)をしておくと、離婚届は受理されません。これは、一方配偶者に離婚する意思がないにも関わらず、他方の配偶者により無断で離婚届が出されるのを防ぐための制度(不受理申出制度)です。

不受理届は市町村の戸籍係に所定の用紙が備え付けてあります。提出先は、本籍地の役場へその市町村長宛で提出します。本籍地外の役場でも受付し、受付後に本籍地の役場の市町村長宛に送付されます。

 離婚届の不受理の扱いをする期間は届出の日から6カ月以内で、申出書に「不受理期間」を記載する欄があり、申出人がその期間を定めることになっています。もし不受理期間を記載しない場合や6カ月を超える期間を記載した場合にも、不受理期間は6カ月となります。

不受理期間満了後も、不受理の扱いを希望するときは、あらためて不受理届を提出する必要があります。不受理届の更新は回数制限がなく、必要があれば何度でも更新できます。

 不受理届の必要がなくなった場合は、申出人はいつでも不受理届を取り下げることができます。不受理届を提出した申出人が離婚届の提出をしたいと思う場合や、相手方の離婚届提出に合意する場合は、不受理届の取り下げを行えば離婚届が受理されます。

 不受理届が提出されているにも関わらず、誤って離婚届が受理されてしまっているような場合、戸籍に記載される前であれば、離婚届は届出人へ返されます。離婚の事実が戸籍に記載されてしまった場合は。本籍地の市町村長において、離婚したとする戸籍の記載を抹消し、離婚届を届出人へ返します。

 

3 不受理届前に勝手に離婚届を出されてしまった場合の救済方法

 この場合、離婚届について離婚意思を欠いており離婚は無効です。しかし、離婚が無効だったとしても、すでに戸籍に離婚の事実が記載されている場合は、戸籍をもとに戻すには戸籍の是正の手続きが必要となります。戸籍の是正をするには、家庭裁判所で離婚無効の調停や訴訟を行い、離婚の無効を法的に明らかにする家庭裁判所の審判書または確定した判決書を添付する必要があります(戸籍法114条)。

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